アカデミックな単語が出題されるTOEFL。その対策で最も時間がかかるといわれているのが「リスニング」です。今回は、リスニングの勉強法として「シャドーイング」についてご紹介します。シャドーイングの勉強におすすめのアプリや教材もご紹介するので、ぜひリスニングの勉強に役立ててください。
シャドーイングとは?
シャドーイングとは、音声を聞いて、間髪を容れずにそのまま復習するトレーニング方法。
影(シャドウ:shadow)のようについていくことから、シャドーイングといわれています。「聞いて真似る」、言語の習得方法として最もスタンダードな方法です。
聞いてすぐに発音するので、正しいリズムやアクセントを覚えやすいのがポイント。
英語を音として聞き取りつつ、その内容を理解して語順通りに発音することで、英語を「聞いて理解する」練習ができます。自然と英語の聞き方や話し方が身に付くでしょう。
ちなみに、音声を聞き取るという点では、「ディクテーション」という方法もありますが、こちらは、音声を聞いてスペルを紙に書き出すこと。文字に書き起こすので時間がかかってしまうのが難点です。
その点シャドーイングは書き起こす必要がなく、音声を聞いて発音して真似をするだけなのでとてもシンプル。効率的に勉強できます。
シャドーイングの効果
シャドーイングには以下の効果があるといわれています。
知っている単語なのに聞き取れない…がなくなる
「知っている単語なのに聞き取れない…!」ということはありませんか?
英語には日本語にはない音が豊富で、また、単語一つひとつの音と文章の中で使われた場合の音とが違うこともあるため、慣れないと聞き取れないということがあります。
シャドーイングは「音を聞き取って真似る」ことによって、脳に音声変化を認識させることができるといわれています。
音声を真似する必要があるため、ただ無意識に音を流している(聞いているけど聞いていない)状態になりません。
シャドーイングをすれば、音の変化に関する知識をたくさん蓄えることができるので、耳が英語に慣れるでしょう。
語彙力を増やせる
TOEFL(この記事では、 TOEFL iBTとして説明しています。)のリスニングは、アカデミックな単語やトピックスが出題され、高度な語彙力が必要とされます。
知らない単語が多いほどリスニングの理解度が下がってしまいます。リスニングで高スコアを取るためには、語彙力を増やして英文を正しく理解することが必要です。
シャドーイングで繰り返し練習すれば、無理して単語を覚えようとしていなくても、自然と単語や構文が身に付くでしょう。
リスニングだけでなく、スピーキングやリーディングスキルも向上する
シャドーイングはお手本の音声を真似て何度も発音するので、発音が良くなり、自然なアクセントやイントネーションが身に付きます。
TOEFLのスピーキングセクションでは、「流暢さ」も採点項目に含まれているため、流暢に話せるようになれば好スコアを狙えるでしょう。
シャドーイングは、リーディングスキル向上にも役立ちます。
シャドーイングを繰り返すと英語を「意味のかたまり」として理解することができるようになります。
そうなれば、文章を読むときも「意味のかたまり」を見つけやすくなるので、リーディングのスピードが上がるでしょう。
このように、シャドーイングを繰り返せば、TOEFLリスニングセクションだけでなく、ほかの技能のスコアも上がるはずです。
TOEFLリスニング対策向け|シャドーイングの勉強法
効率の良いシャドーイングの勉強法をご紹介します。TOEFLのリスニング対策にもぴったりです。
以下の手順で行うと効果的です。
- リスニング
- シャドーイング(録音して確認)
- スクリプトの確認
- シャドーイング(録音して確認。スクリプトを見ながらでも構いません。)
- シャドーイング(録音して確認。スクリプトを見ずにやってみましょう。)
…④⑤の繰り返し…
①で音源全部をリスニングすることで、内容全体をつかむようにしましょう。文章の推測力も鍛えることができます。
次に②でシャドーイングを行ってみましょう。初めは難しいと思います。難しければスクリプトを確認しながら行ってみましょう。
闇雲に音を真似するのではなく、英文の意味を考えながらシャドーイングするのがポイントです。
録音すると、自分のシャドーイング音声とお手本の音声のどこに違いがあるのか確認できます。
どこで置いていかれるのか、単語の発音間違いがないか、イントネーションの間違いがないか、色々分析してお手本との差を修正していきましょう。
シャドーイングで録音→チェック→修正→シャドーイングで録音…を繰り返すことで、自己流の発音から脱却でき、実践で使えるスピーキング力が身に付きます。
ちなみに、シャドーイングは何回も行うことが大切です。2~3回やったら終わりということがないよう、真似できるようになるまで、何回も続けることがポイント。
完成度9割以上を目指しましょう。
仕上がってきたら新しいトピックスに挑戦し、毎日続けるようにしてください。
スクリプトを見ずにできるようになってきたら、散歩中や通勤途中に「ながらシャドーイング」に挑戦してみましょう。忙しい方にもおすすめです。
【アプリ】TOEFL対策向け|おすすめのシャドーイング教材
それではTOEFL対策にもおすすめのシャドーイング教材をご紹介します。具体的な教材をご紹介する前に、シャドーイング教材を選ぶ際のポイントをお伝えします。
なお、シャドーイングの教材には「アプリ」と「書籍」がありますが、いつでも手軽にシャドーイングをしたい方、スマホで再生したい方には「アプリ」がおすすめです。
シャドーイングアプリを選ぶ際のポイント
以下のポイントを確認しながら、シャドーイングアプリを選ぶと良いでしょう。
自分のレベルに合っていること
背伸びをしすぎず、自分のレベルに合っている教材で始めましょう。難しすぎると挫折しやすいです。
音声を聞いて80%程度理解できるものがおすすめです。分からない単語や文法を調べて、文章を理解しながらシャドーイングを行いましょう。
やりがいを感じたいのであれば、少し難し目の教材を選んでも良いでしょう。音声を聞いて50~60%理解できるものを使ってみましょう。
機能が充実していること
録音機能が付いていたり、再生スピードをコントロールできたりと、音声機能が充実しているアプリを選ぶと良いでしょう。
特に録音機能は、自分の声とお手本の音声を比べることができ、どこが違うのかを客観的に確認できる点で便利です。
シャドーイングし、録音して聞き比べ、修正する…を繰り返すことで、イントネーションも含めてお手本の音声に近づくことができるでしょう。
また、再生スピードがコントロールできると、自分のレベルに合った速度に調節できるので便利です。
シャドーイングは自分のレベルにあったものを使うのが好ましいですが、ジャンルによっては早すぎて聞き取れないものもあります。
再生スピードを調節できれば、自分のレベルに合った速度でシャドーイングの練習ができるでしょう。
スクリプトがあること
シャドーイングをするなら、必ずスクリプトがあるものを選びましょう。
聞き取れない単語や意味の分からない単語をそのままにしても、シャドーイングの効果は上がりません。聞き取れなかった単語や表現は、必ずスクリプトで確認する癖をつけましょう。
英語のスクリプトだけでも十分ですが、和訳があると、分からない単語などがあっても自分で調べる必要がないので便利です。効率良く学習したい方におすすめです。
TOEFL対策におすすめのシャドーイングアプリ5選
それではTOEFL対策におすすめのシャドーイングアプリをご紹介します。
シャドテン
・画像引用:シャドテン
シャドテンは、コーチングで有名な「プログリット」が運営する、シャドーイング添削サービスです。
ユーザーのシャドーイング音声を英語のプロが添削し、発音の改善すべきポイントをテキストでフィードバックしてくれます。
定期的に受ける「リスニング力診断」の結果から、700以上ものコンテンツの中からおすすめの教材を提案してくれるので、自分の実力に合った教材でシャドーイングの練習ができます。
英訳・和訳のスクリプトが用意されています。録音はもちろん、音声スピードを調節できるシャドーイング専用のアプリを使うので、ストレスなくシャドーイングを続けられるでしょう。
Webページからの申し込みで、月額19,800円(税抜)です。
少し高いと感じるかもしれませんが、毎日30分のシャドーイングと添削に換算すると、1回約700円なので、英会話スクールなどに比べるとリーズナブルに勉強できます。
7日間の無料体験も実施していますので、ご興味のある方は体験されてみてはいかがでしょうか?個人情報を登録するとアプリダウンロードのためのURLがLINEで送られてきます。
ダウンロードして始めてみましょう。
レシピー
・画像引用:レシピー
プラン名 | 月額費用 | 契約期間 | 特徴 |
---|---|---|---|
Entryプラン | 480円 | 1ヶ月 | リスニング力と基礎的なスピーキング力を向上させたい方向け |
BASICプラン | 1,300円 | 1ヶ月~ | AIによる発音チェック付き本格的にスピーキング力を鍛えたい方向け |
Standardプラン | 2,500円 | 3ヶ月~ | 短期間で総合的に英語力を上げたい方向け |
Advancedプラン | 4,900円 | 3ヶ月~ | 添削や質問チャットも使用可。ファイナンスや会計、ビジネス英会話コンテンツも学べる。 |
こちらは、「今、注目の英語学習アプリ」などの3部門で5年連続1位を獲得した人気のアプリ。
第二言語習得理論に基づいて開発されているので、まさに「日本人の英語学習」におすすめのアプリ。
リスニングだけでなく、スピーキング、リーディング、ライティングに単語学習に文法学習と、1つのアプリで6大要素をすべて勉強できるのがポイントです。
総合的に学習できるので、TOEFLスコアを全体的に上げたい方におすすめです。
シャドーイングをする際は、「リスニングができる記事」をタップすると、ネイティブが録音した記事を聞くことができます。
英文スクリプト上で、分からない単語をタップすると日本語で意味が表示されるので、自分で調べる必要がなく、便利です。
調べた単語は単語帳に蓄積されていくので、オリジナルの単語帳ができあがります。復習する際に使いましょう。
発音チェックも可能です。スピーキングモードを選択して、文章を読み上げると、録音と同時にAIがユーザーの発音を自動で認識して採点。発音が間違っているところを赤字で教えてくれます。
何度でも練習することで、ネイティブに近い発音ができるようになるでしょう。
使える機能によって料金が異なります。おすすめはStandardプラン。短期間で総合的に英語力を伸ばしたい方におすすめです。
TED
・画像引用:TED
TOEFLのレクチャー形式のリスニング問題には専門用語が頻繁に出てきます。また実際の大学の講義をベースにした音源を元にしているため、フォーマルな表現が用いられているのも特徴です。
TEDには、アカデミックな内容が多数収録されているので、TOEFLのリスニング対策にもぴったりです。
専門用語も多く出てくるので、語彙力アップにもつながりますし、講義形式で進むコンテンツもあるので、講義の展開について理解することもできるでしょう。
TEDはスピーチ全体が長いので、30秒~1分を1つとして、区切って聞きましょう。英語の字幕を見ながら、又は字幕を見ずにシャドーイングを繰り返すことで、リスニング力が向上するでしょう。
TEDの公式アプリでは録音はできませんが、スクリプトはついています。何よりも無料なのが嬉しいポイントです。
英語の友
・画像引用:AppStore
「英語の友」は旺文社の英語アプリ。
TOEFLをはじめ、旺文社の刊行する英語資格試験用の対策書籍200冊以上の音声が搭載されており、無料で音声をダウンロードできるのがポイントです(一部アプリ内で課金あり)。
TOEFL対策の諸先だけでも10冊以上の音声が収録されています。「はじめてのTOEFLテスト完全対策 改訂版」や、「TOEFLテスト リスニング問題190[4訂版]」など、レベルもさまざま。
スクリプトはアプリ上で表示されないため、書籍で確認する必要がありますが、それでもこれだけのTOEFL対策本の音声を無料でダウンロードできるのは嬉しいポイントです。
アプリには再生スピードの調整など、便利なリスニング機能がついています。一部の書籍限定とはなりますが、単語テストや発音判定付きのスピーキング機能も搭載されています。
すき間時間にシャドーイングをするのにおすすめのアプリです。
英会話や英単語を聞き流し – 英語リスニング
・画像引用:AppStore
英語リスニングに特化した、シンプルなアプリです。しかも無料です。
トピックは英語コラムや英語ニュース、日常生活に関わる内容など幅広くラインナップ。
興味のあるトピックを開いて英語音声を流せます。音声に合わせて字幕が表示されるので、シャドーイングの練習におすすめです。
聞き流しや倍速など便利な機能も搭載されています。シンプルだけれども、シャドーイングに必要な機能は押さえたアプリです。
【書籍】TOEFL対策向け|おすすめのシャドーイング教材
次にTOEFL対策におすすめの書籍をご紹介します。
書き込みをしたい方、確実にスクリプトが欲しい方は「書籍」がおすすめです。
シャドーイング教材(書籍)を選ぶ際のポイント
シャドーイング用の書籍を選ぶ際は、アプリを選ぶ際のポイントでもお伝えしたように、自分のレベルに合っていること、スクリプトがあることに加え、音声ダウンロードができることもポイントです。
音声ダウンロードできること
最近では多くの書籍で、ネット経由での音声ダウンロードが可能です。スマホにダウンロードすることができれば、いつでも音声を聞くことができて便利です。
一部書籍は、CDによる音源提供のものがありますので購入時に確認しましょう。
TOEFL対策におすすめのシャドーイング教材(書籍)3選
それではTOEFL対策におすすめのシャドーイング教材をご紹介します。
Official TOEFL iBT Tests
5回分の過去問が収録されています。リスニングとスピーキングセクションのスクリプトと模範解答の音声はダウンロードが可能です。
音声を聞いてスクリプトを確認しながらシャドーイングをして…を繰り返すことでリスニング力が向上するでしょう。
公式問題集を使ってシャドーイングをしたい方、本番と同じような問題を解きたい方におすすめです。
Voice of America ニュースフラッシュ
VOAはVoice of Americaの略。アメリカ政府が運営する国際放送機関です。
さまざまなニュースを取り扱っており、掲載記事数は約50本。難易度が高いものが多いのでTOEFLハイスコアを目指したい上級者におすすめです。
すべてのニュースに、英文、日本語訳、注釈がついているので、分かりやすいのがポイント。単語の意味はもちろん、背景知識もインプットすることで、ニュース内容の理解を助けます。
またすべてのニュースの音声をダウンロードできます。「ALCO」という無料の音声ダウンロードアプリを使えば、再生スピードを調節することができシャドーイングにも役立つでしょう。
決定版 英語シャドーイング<入門編>
映画「ローマの休日」のシーンや、ミシェル・オバマ夫人が子供達の質問に答える場面など、興味深い内容が収録されています。
スタジオ録音ではなく生の音声が入っているため、聞きづらいと感じる方もいるようですが、実際の英語に触れながらシャドーイングをする、という点では効果的な書籍です。
「入門編」以外にも「超入門」と通常バージョンがあります。
こちらはCD付きです。
シャドーイングでTOEFL本番も聞き取れるように
シャドーイングはすぐにできるものではありません。何回も何回も同じスクリプトを音読し続けて初めて効果が出るものです。
正確に真似できるようになれば本番でも聞き取れるはず。ぜひ今回ご紹介したアプリや書籍で学習して、ハイスコアを狙ってください。