海外MBA完全ガイド|メリット・デメリットから取得後のキャリアまで
ビジネス環境が大きな変化を迎える昨今、企業経営の実務家を育成するMBA(経営学修士・経営管理修士)の価値は高まっています。
世界的に見ても、コロナ禍を乗り切る一つの方策として、MBAの志願者が増加しているようです。
特に、海外のビジネススクールで取得する海外MBAは、外資系企業などからの評価も高く、年収アップにも直結するため人気があります。
この記事では、そんな海外MBAに焦点を当て、メリット・デメリットや国内MBAとの比較、取得後のキャリアまで解説していきます。
おすすめのビジネススクールも紹介していますので、これから海外MBAを目指す方はぜひ参考にしてください。
MBAとは?どんなことを学べる
MBAはMaster of Business Administrationの略で、日本では経営学修士または経営管理修士と訳されます。
海外ではビジネススクール(経営大学院)、日本では大学院にて提供されるプログラムで、卒業すると「学位」が授与されます。
MBAは、ビジネススクールで提供されているブログラムの一つということですね。
MBAコースで学ぶ内容と目的
ビジネススクールのMBAコースでは、以下のような内容を学びます。
- 経営戦略論
- マーケティング
- マネジメント
- 財務・会計
- 人事・組織戦略
- リーダーシップ論
- ロジカルシンキング
など。
基本的に、企業のマネジメント部門に必要とされる知識を網羅しています。将来、企業の経営者になりたい方や、外部から経営支援を行うコンサルタントとして活躍したい方に必要な知識です。
授業内容は、大きく分けて講義とグループディスカッション(ケーススタディ)で行われます。講義とケーススタディの割合はビジネススクールによって異なりますので、事前に情報収集をしておきましょう。
海外でMBAを取得するメリット
日本にも、MBAコースを提供している大学院は数多くあります。しかし、一定数の方が海外MBAを目指すのは、海外MBAに以下のようなメリットがあるからです。
- ブランド力が高い
- 年収が上がる
- 語学力が向上する
- グローバルな人脈ができる
それぞれの詳細を、掘り下げていきましょう。
ブランド力が高い
MBAホルダーの多くは外資系企業への転職や就職を希望しますが、多くの外資系企業において、海外MBAは国内MBAよりも高い評価をされる傾向にあります。
グローバルな展開をしている外資系企業では、欧米をはじめとしたビジネスの本場に留学し、国際的な環境で経営学を習得してきたという実績が評価されるのです。
難易度の高いビジネススクールのMBAを取得しているほど、そのブランド力も高くなります。
年収が上がる
ブランド力とも関わりが深い項目ですが、実際の統計データとして国内MBAホルダーと海外MBAホルダーの卒業前後の年収変化をまとめた論文があります。
以下の表は、慶應義塾大学学術情報リポジトリにて公開されている『海外MBAと国内MBAの比較』からの抜粋ですが、海外MBAを取得した学生の賃金上昇額が非常に大きくなっていることが分かりますね。
プログラム | MBA卒業前 | MBA卒業後 | 賃金上昇額 | 人数 |
全体 | 724.39万円 | 1178.69万円 | 436.58万円 | 116人 |
海外MBA | 701.52万円 | 1247.78万円 | 546.25万円 | 90人 |
国内MBA | 799.66万円 | 888.46万円 | 88.80万円 | 26人 |
後述するように海外MBAの取得にかかる費用は非常に高額ですが、外資系コンサルタントや外資系金融会社、外資系IT企業への転職・就職を考えている方にとって、海外MBAは先行投資先としての価値があるという結果になっているのではないでしょうか。
語学力が向上する
海外のビジネススクールの授業は、当然のことながら英語で行われます。
MBAの授業で必ず行われるグループディスカッションはネイティブレベルの高スピードで繰り広げられますし、レポート作成もすべて英語です。
入学前の段階である程度の英語力が求められますが、在学中も英語力向上のための努力は必須。その結果として、グローバルレベルの高度なビジネス英語が身に付きます。
グローバルな人脈ができる
海外のビジネススクールには、世界中から優秀な生徒が集まります。そういったクラスメート達とのディスカッションは、非常に大きな成長を促してくれるでしょう。
卒業後に海外でビジネスを展開したいと考えているのであれば、貴重な人脈も構築できます。
また、日本人は外国で就職するのが難しいと言われていますが、インターンシップ制度を導入している大学や大学院のビジネススクールなら、海外就職の可能性も広がります。
海外でMBAを取得するデメリット
魅力的なメリットが多い海外MBAですが、以下のようなデメリットも存在します。
- 高額な費用がかかる
- 高い英語力が必要
- 仕事を中断して留学する必要がある
高額な費用がかかる
海外に留学し、フルタイムでビジネススクールに通った場合のMBA取得費用は、学費のみの総額で800万~2,000万程度と言われています。
この他、現地での生活費や渡航代、教科書代などがかかりますし、入学前の準備としてMBA予備校に通う場合は、その費用だけで100万~200万円程度の学費が必要です。
2年程度の留学中は収入が途絶えることになりますので、かなり大きな出費と言って良いのではないでしょうか。
それに対して、国内MBAの取得にかかる学費の総額は、フルタイム・パートタイムに関わらず300万円~500万ほど。国立大学の場合は、200万円未満となることもあります。
海外MBA・国内MBAを費用面で比較すると、海外MBAの取得にかかる費用は非常に高額ということが分かりますね。
海外MBAの取得にかかる費用については、こちらの記事も併せて参照ください。
高い英語力が必要
前述したように海外MBAの授業は英語で行われるため、「英語力が付く」というメリットがある反面、「英語力がないと授業についていけない」「経営学の勉強ではなく英語の勉強になってしまう」といったデメリットもあります。
そもそも入学する段階で高い英語力が求められ、TOEFLやGMATで一定の基準に達することが求められますし、英語による小論文も課されます。
入学前に英語力をできるだけ高め、入学後もディスカッションで積極的に発言をするなど、英語力を高めるための努力を継続しましょう。
仕事を中断して留学する必要がある
海外MBAを取得するためには2年~の留学期間が必要なため、多くの場合、仕事を退職あるいは長期休職する必要があります。当然、その間は収入を得ることができませんし、キャリアもストップします。
勤務先企業が海外MBA取得のための留学制度を提供している場合はこの限りではありませんが、社内競争率が非常に高く、帰国後数年間の退職に対してペナルティが課されるなどの制約があります。
海外MBA取得後の進路について
上記でご紹介した海外MBAのメリットの項目では、高いブランド力とそれによる年収アップについて触れました。
では、具体的に海外MBAを取得した日本人は、卒業後にどのような進路を選ぶ方が多いのでしょうか?
卒業後の進路は大きく以下の3つに分類できますが、
- 日本に帰国して就職・転職
- 海外で就職
- 起業
中でも多くの日本人が選択するのが、「日本に帰国して就職・転職」です。
そして、特に海外MBAというブランド力を活かし、年収アップに直結しやすい転職先・就職先として人気なのが、以下の3つの業界です。
- 外資系コンサルティングファーム
- 外資系投資銀行
- 外資系IT企業
いずれも、海外MBAホルダーということで将来の経営幹部候補として採用されることが多く、その分、高年収を獲得しやすくなっています。
また、中には海外での就職や企業を選ぶ方もいます。海外MBAホルダーの卒業後の進路については以下の記事でも詳しく解説していますので、併せて確認してください。
国内MBAとの違い
ここからは、海外MBAと国内MBAの違いについてまとめていきたいと思います。以下の5項目に関して、両者の特徴を比較してみました。
海外MBA | 国内MBA | |
学費 | 総額800万~1,600万円ほど | 総額300万~500万ほど |
言語 | 英語 | 日本語 |
生徒の多様性 | 世界中から優秀な学生が集まる | 日本人ビジネスマンが多く集まる |
ブランド力 | 高い | 国際的には高くない |
卒業後の年収 | 上昇率が高い | 上昇率は低い |
学費に関しては、前述したように両者には大きな差があります。日本の場合、パートタイムのMBAプログラムを選択すれば仕事をしながらの取得も可能なため、受講中の収入が確保できるというメリットもあります。
言語に関しては英語・日本語という明確な違いがあるため、実践的なビジネス英語を身に付けたい場合は海外MBAの方が向いています。ただし、国内MBAには母国語ゆえ経営学に対する理解が深まるといったメリットもあります。
生徒の多様性に関しては、グローバルな人脈を形成したい方は海外MBAを、日本人ビジネスマンの人脈を形成したい方は国内MBAを選ぶと良いでしょう。
ブランド力と年収に関しては、海外MBAに軍配が上がります。特に、ランキング上位校のブランド力は高く、卒業後に外資系企業への転職や就職を考えている方は、海外MBAにチャンレンジする価値は高いと言えるでしょう。
海外MBAと国内MBAの詳細な比較は、以下の記事で詳しく解説しています。こちらも併せてご覧ください。
海外MBAランキング10選
では実際に、MBAランキングの上位校を見ていきましょう。以下の表は、U.S. News 2022 Best Business Schoolsが公表しているフルタイムMBAの全米ランキングです。
1年間あたりの学費も公表されているため記載していますが、ランキング上位校ほど学費も高くなる傾向にあります。
大学 | 学費/年 |
1位:スタンフォード大学(Stanford University) | $74,706 |
2位:ペンシルバニア大学(University of Pennsylvania) | $80,432 |
3位:ノースウェスタン大学(North Western University) | $74,871 |
4位:シカゴ大学(University of Chicago) | $73,440 |
5位:マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology) | $77,168 |
5位:ハーバード大学(Harvard University) | $73,440 |
7位:カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley) | $64,246 |
7位:コロンビア大学(Columbia University) | $77,376 |
9位:イェール大学(Yale University) | $72,350 |
10位:ダートマス大学(Dartmouth College) | $77,520 |
10位:ニューヨーク大学(New York University) | $76,780 |
参照元)U.S. News 2022 Best Business Schools
また、学費だけでなく、ランキング上位校は入学のためのハードルも高いです。TOEFL・GMATで求められるスコアも高くなりますので、相応の準備が必要です。
安くて早い!オンラインでの海外MBA取得について
「海外MBAは魅力だけど、学費が高すぎてチャレンジできない。」
「2年間も仕事をせず、学業に専念することにリスクを感じる。」
「現時点の英語力に自信がないので、海外MBAに二の足を踏んでいる。」
こんな方たちにおすすめなのが、海外MBAのオンラインコースです。
オンラインコースであれば、費用は国内MBAと同等かそれ以下、期間も最短1年間という短期間で海外MBAが取得できますし、入学のハードルもそこまで高くありません。
仕事を続けながら1年で卒業可能!コベントリー大学のMBAコースとは?
中でもおすすめなのが、イギリスにあるコベントリー大学のMBAコースです。
コベントリー大学のMBAコースは完全オンラインで行われ、学費は総額で$29,000、期間も1年間という短期間でMBAが取得できます。
コベントリー大学の特徴
コベントリー大学の概要は、以下の通り。イギリスの人気公立大学で、日本における慶応大学、上智大学と同等レベルの大学となります(QS世界ランキングより)。
設立 | 1992年 |
キャンパス | Coventry Campus、London Campus、Scarborough Campus |
学生数 | 34,985⼈(2018/19) |
就職率 | 94% ※IBM、Hilton Hotels、Intel、ゼロックスなど一流企業と提携 |
受賞歴 | ・2021年最もモダンで最新な大学1位(Guardian University Guide) ・教育の質、学⽣の満⾜度、進学率、就職率で、『⾦賞』を受賞(Teaching Excellence Framework) |
コベントリー大学の学費が他のオンラインMBAと比べてリーズナブルな理由は、1年間という受講期間と大きな関係があります。
通常、オンラインでのMBA取得はフルタイムの現地留学と比べて時間がかかるものなのですが、期間が短い分、費用も少なくて済むということですね。
1対1のアカデミックサポーターによるサポートを受けながらカリキュラムを進められるため、英語に自信がない方でも安心です。
留学タイムズでは、コベントリー大学のオンラインMBAコースのサポートを実施しています。興味のある方は、こちらのフォームよりお問い合わせください。
オンライン留学に対応した海外MBAプログラムに関しては、こちらの記事も詳しく解説しています。
まとめ
最後に、海外MBAのメリットとデメリットをおさらいしておきましょう。海外MBAのメリット・ブランド力が高い
・年収が上がる
・語学力が向上する
・グローバルな人脈ができる海外MBAのデメリット・高額な費用がかかる
・高い英語力が必要
・仕事を中断して留学する必要がある
最近では、海外MBAのデメリットを補うオンライン留学の人気も高まっています。
できるだけ安く短期間で海外MBAを取得したいという方は、海外MBAオンラインプログラムも検討してみてください。MBA取得費用をかなり節約できるだけでなく、国内MBAとは異なり授業は完全に英語で行われ、日本にいながら海外大学のMBA資格が取得できます。