「英文を読めば理解できるのに、リスニングになると理解できない」といったお悩みの方は多いのではないでしょうか?そのような場合におすすめの学習法がディクテーションです。ディクテーションは聞き取った英語をそのまま書き取る英語学習法です。シャドーイングのように音声を流し続けるのではなく、一文や節ごとなど、ある程度の長さで区切りながら取り組むのが特長です。
この記事では効果的にリスニング力を上げられると評判のディクテーションのやり方やポイントをご紹介します。
- リスニング力を上げたい
- ディクテーションの詳しいやり方を知りたい
- ディクテーションにはじめて挑戦する
- ディクテーションに取り組んだけど上手くできなかった
英語のディクテーションとは
ディクテーションは音声を聞き、聞き取った英語をそのまま書き取る英語学習法を指します。シャドーイングのように音声を流し続けるのではなく、一文や節ごとなど、ある程度の長さで区切りながら取り組むのが特長です。
一度ですべて聞き取るのは難しいので、何度か繰り返し聞きながら正しく完全な文章を書き起こしていきます。
まったくの白紙に一から全文を書き取っていくやり方が基本ですが、スクリプトの一部がはじめから印刷された状態で、空いている部分だけを聞き取る穴埋め式のやり方もあります。
ディクテーションの効果5つ
ディクテーションにはどのような効果があるのでしょうか?具体的に見ていきましょう。
ディクテーションの効果|リスニング力が向上する
ディクテーションの一番の効果はリスニング力の向上です。聞き取った文字を書き取ることで音と文字を一致させられるようになるため、今まで聞き取れなかった音を目でも耳でも理解できるようになります。
また、続けていくことで音声変化についても聞き取れるようになるのが特長です。一字一句書き出す必要があるので、なんとなくで聞き流すこともなくなり、重要な部分を確実に聞き取れるようになります。
ディクテーションの効果|文の構造や文法の理解が深まる
正確に書き取るためには、語順や文法など、文の構造も意識しなくてはいけません。スペルや冠詞、コンマなど細かい部分にも気をつけるようになるので、理解が深まるだけでなく自分で英文を組み立てる際にも役立ちます。
何度も取り組むことで、副詞や形容詞の場所など、英語ならではの語順が自然に身に付いてくるのも嬉しいポイントです。
ディクテーションの効果|推測する力が養われる
すべての音声を一度で正確に聞き取るのは困難ですが、ディクテーションを続けていくと聞き取れなかった部分を推測して文章を組み立てることができるようになります。
これにはある程度の文法知識が必要ですが、ディクテーションをする内に自然と覚えていくことが可能です。また似た発音の単語に関しては、前後の文脈から適した意味の単語を選ぶ力が鍛えることができます。
ディクテーションの効果|弱点を把握できる
聞こえたすべての音を書き出すので、どういう音が聞き取れないのかを可視化することができます。聞き取れなかった箇所を分析することで、弱点を把握することが可能になり、その対策が容易になります。
苦手な音だったという以外にも、そもそも知らない単語だった、文法を理解していないなど、今まで考えもしなかったことが聞き取れない原因かもしれません。
自分でも気付かなかった弱点を洗い出すためにもディクテーションは最適です。
ディクテーションの効果|意味を理解して聞き取れるようになる
練習の回数を重ねていくと、意味を理解して聞き取れるようになっていきます。書き取り後の答え合わせをきちんと行うことで、さらに理解度が上がります。
また重要な部分を聞き洩らさずにリスニングできるようになるので、TOEICなどの試験やビジネスシーンでも役立つ力を養うことが可能です。
ディクテーションのやり方
ここからはディクテーションの具体的なやり方をご紹介します。こちらは基本的な方法ですので、回数などはご自身の学習スタイルに合わせて取り組んでくださいね。
- メモを取らずに音声だけを聞く
- 実際にディクテーションする
- スクリプトを見て答え合わせ&分析
- 音読とシャドーイングで定着
- 日を空けてもう一度取り組む
1. メモを取らずに音声だけを聞く
まずはメモを取らずに音声だけを聞きます。大体の内容を掴むイメージで1~2回聞いてみましょう。音声はスクリプト付きのものを選んでください。ここではまだスクリプトには目を通しません。
初心者の方は、1センテンスのごく短いものから始めるのをおすすめします。慣れてきたら30秒~数分程度の長めの音声に取り組んでみるのもいいでしょう。
2.ディクテーションをする
いよいよ実際にディクテーションをしていきます。音声は一文ごとに聞いて書き取ることがポイントです。音声変化や文法を理解するために、文の途中や単語ごとに音声を止めないよう注意しましょう。
文の長さにもよりますが、2~10回程度を目安に聞いてみてください。最初は文章の重要そうな単語やまとまりを聞くようにし、だんだん細かい部分を埋めていくようなイメージで取り組むのがおすすめです。
音声は何回聞いても問題はありませんが、これ以上は聞き取れないと思ったら次のステップに進みましょう。
3.スクリプトを見て答え合わせ&分析
ここで初めてスクリプトを確認します。自分が書き取った英文とスクリプトを照らし合わせ、答え合わせをしてください。スペルやコンマ、大文字・小文字などの細かい部分まで確認することを忘れずに。
答え合わせが終わったら、間違っている部分、聞き取れていない部分の原因を分析することが大切です。なるべく具体的に原因を探って弱点を把握し、わかるようにメモをしておきましょう。
単語や言い回しがわからなかった、音声変化を聞き取れていないなど、このステップで見えてきた弱点の対策をすることで英語力がグッとアップします。
4.音読やシャドーイングで発音やリズムを確認
続いて、音読やシャドーイングをして発音や英語ならではのリズムを確認します。音声を再度聞いた上で、真似るように練習しましょう。特に間違っていた部分の発音を重点的に確認することが大切です。
このひと手間で、リスニング力のみならず発音も向上させることができるほか、文章を口に出して言うことで記憶にも定着しやすくなります。
5.日を空けてもう一度取り組む
2~3日空けて、もう一度同じ音声を使いディクテーションをします。こうすることで、理解を深められると同時に、記憶に定着させることが可能です。
また、前回よりも聞き取れるようになっているはずですので、自信にもつながります。
毎日ディクテーションに取り組むとさらに効果が出ますので、いくつかの音声を使って1~5のステップを繰り返しましょう。ステップ4で把握した弱点にフォーカスした学習をあわせて取り入れることもおすすめします。
ディクテーションが間に合わない場合の対処法
音声の方が早いので、書き取るスピードが間に合わないこともあります。何度取り組んでもどうしても間に合わない場合の対処法を4つご紹介します。
ディクテーションが間に合わない場合の対処法|音声を途中で停止する
基本的には一文ずつ聞いてから書き取るのがおすすめですが、間に合わない場合は一文の中で区切りがよいところで止めて取り組んでみましょう。ただし、一単語ごとに止めないように心がけてください。
慣れたら1センテンス全部を聞いてから書き取るやり方に戻すことをおすすめします。文の途中で止める場合、数秒単位で戻ったり再生する必要があるので、ディクテーション機能のあるアプリを使うと便利です。
ディクテーションが間に合わない場合の対処法|再生スピードを変える
何度繰り返しても上手く聞き取れないようであれば、音声の再生スピードを変えてみましょう。速い英語を聞くことで耳が音に慣れていくので、一気に遅くするのではなく少しずつ調整してください。
遅い再生スピードで取り組んだあとは、再度通常スピードでも挑戦することをおすすめします。
ディクテーションが間に合わない場合の対処法|メモの取り方を工夫する
書き取りにはどうしても時間がかかるので、メモの取り方を工夫することもおすすめです。
長い単語はわかる程度の長さに省略したり、綴りがわからない単語はカタカナでメモするなど、自分なりのやり方を見つけてください。
ひとつひとつの単語に気を取られすぎず、文全体の流れを掴むことを重視した書き取りを心がけると、書き取りのスピードが上がります。
ただし、そのまま答え合わせに進むのではなく、最終的にはわかる範囲で正しい形に修正するのを忘れないよう注意しましょう。
ディクテーションが間に合わない場合の対処法|教材を見直す
上記の対処法を取り入れてもなお聞き取れない場合は、現時点での英語レベルにあっていない可能性があるので、教材を見直すことも検討してください。
語彙レベルが低いものや文量が少ないものに変えて取り組んでみましょう。ディクテーション専用の教材を利用するのはもちろん、慣れるまでは穴埋め方式を取り入れてもいいですね。
初心者がディクテーションを行う際のポイント
ディクテーションは音声を聞き取りながら文字を書くという2つの動作を同時に行うので、集中力が必要で負荷の高いトレーニングです。やり方を間違えると効果を感じにくかったり、挫折してしまいます。
ここではディクテーションを行う際のポイントを具体的にご紹介します。
ディクテーションのポイント|自分に合った教材を選ぶ
初心者の方は、自分のレベル、興味に合った教材を選ぶことが特に大切です。
難しすぎたり、興味がまったくないトピックの教材だと続けるのがおっくうになってしまいますので気をつけてください。声の長さは数十秒から長くても数分程度のものをおすすめします。
また、英文を読めば8割以上は理解できるレベルの教材で、発音がはっきりしたものがよいでしょう。
ディクテーションには、スクリプト付きの音声が必要不可欠です。教材を探すこと自体もなかなか大変なので、ディクテーションに特化した教本から始めてもいいでしょう。
またさまざまな分野のスピーチが聞けるTEDは、どの動画にもスクリプトがついているので便利です。1本が長いほか難しい内容のものも多いので、ディクテーションに慣れた上で、何回かに分けて取り組むのがおすすめ。
TEDスピーチを使った「TEDICT」というアプリもあります。
ディクテーションのポイント|書き取り方を工夫する
ただやみくもに聞こえた音を書き出していくのではなく、書き取り方を工夫をすることで効率が上がります。一度目で聞き取れない部分は空白にしておき、何回か繰り返すごとに空白を埋めていきます。
何度聞いても聞き取れない部分には、線を引いたり囲ったりして、答え合わせの際にわかりやすくなるよう目印をつけておきましょう。目印をつけた部分でも、答えを予想して書いておくことをおすすめします。
このように工夫することで、文章の理解できている部分と、理解できなかった部分がはっきりするので答え合わせとその後の分析に役立ちます。
ディクテーションのポイント|答え合わせは細かい部分までしっかりと行う
ディクテーションにおいて、答え合わせはとても重要です。ここを疎かにしてしまうと効果が半減してしまうので、集中して取り組んでくださいね。書き取りと清書が終わったら、スクリプトと見比べながら確認します。
語順はもちろん、単語のつづりや冠詞の有無のほか、コンマの位置などの細かい部分までしっかりチェックしましょう。間違っていた部分は、自分が書き取った元の文がわかるように訂正し、間違えた原因を分析しやすいようにしておきます。
ディクテーションのポイント|なるべく空白を残さない
聞き取れない部分があったとしても、なるべく空白を残さないよう心がけましょう。わからなくても「こんな風に聞こえた気がする」という音を書き残しておきます。
こうすることで、答え合わせをする際にどうして間違えたのかがわかりやすくなるからです。間違いを訂正することで記憶にも残りやすくなり、間違いが少なくなっていきます。
最初はわからない部分が多いかもしれませんが、まずは空白をどんどん埋めていきましょう。
ディクテーションのポイント|完璧を目指しすぎない
スペルや冠詞など細かい部分まで確認する必要がありますが、完璧を目指しすぎないことも大切です。完璧にするために何度も何度も聞き返していると、疲れてしまったり飽きてしまう可能性もあります。
間違いや聞き取れない部分があっても、だんだんとわかるようになってくるので問題ありません。
まずは重要な部分をしっかり聞き取り、概要を理解することを重視しましょう。その分答え合わせは正確に行い、間違いの原因を把握してください。
ディクテーションのポイント|基本知識を身に付ける
英語学習初心者の方でも取り組めるディクテーションですが、基本知識が身に付いているとその効果をより感じられるようになります。文章の意味を理解しながら書き取るためにも、基本的な語いや文法を学習しておきましょう。
また、どのような音声変化があるのかやアクセント位置のルールなどについても簡単に学習しておくと音の変化やつながりを意識しやすくなり、聞き取れる度合いがかなり変わってきます。
ディクテーションのポイント|アプリやサイトを活用する
基本のやり方は紙に書きだす方法ですが、アプリやディクテーション教材を扱うサイトを使って練習することもできます。
手書きの方が記憶に残りやすいですが、アプリやサイトなら場所や道具を気にせず気軽に取り組めるのが嬉しいポイント。サイトを活用する場合、書き取りはキーボード入力で行う場合があります。
この時注意したいのが、予測変換機能です。自動で単語を予測・訂正されては練習になりませんので、予測変換やスペルチェックなどの自動チェック機能をオフにしてから始めましょう。
手持ちの教材をWordなどの文書作成ソフトに打ち込む場合も同様です。
スキマ時間のディクテーションにはアプリがおすすめ
スキマ時間を使ってディクテーションをしたい方にはアプリがおすすめです。
ディクテーション特化型のアプリのほか、シャドーイング機能のついた英会話アプリもありますので、学習スタイルや好みに合わせて選ぶことができます。
アプリにはリピート機能や再生スピードの調整など便利な機能が使えるので、スムーズに取り組むことが可能です。紙に書き出すディクテーションと組み合わせて利用してみてはいかがでしょうか?
ディクテーションの継続で英語の聞き取りを楽に
ディクテーションは、取り組めば取り組んだだけ英語力を伸ばしてくれます。効果を感じられるようになるまでは多少の時間がかかりますが、今まで聞き取れなかったものが理解できるようになる瞬間はとても嬉しいものです。
この記事を参考にぜひディクテーションに取り組んでみてくださいね。