IELTSのリスニング対策｜効果的な勉強法と解き方のコツ

英語圏への留学や就労に必要とされる試験IELTS。この記事ではIELTSのリスニングに焦点を当てて、効果的な勉強法と解き方のコツをご紹介します。

「IELTSのリスニングスコアが上がらない…」「IELTSの学習方法を知りたい…」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

IELTSのリスニング対策｜まずはリスニングの概要を知ろう

何事も、対策をする前には敵を知ることが大切です。まずはIELTSのリスニングの概要をご説明します。

IELTSリスニングテストの概要

IELTSリスニングテストの問題は全部で40問。時間は30分です。

（なおIELTSには、紙と鉛筆で受験するペーパー版と、パソコンで受験するコンピューター版があり、ペーパー版は解答を転記するためにプラス10分間が設けられています。コンピューター版は2分間です。）

音声は1度のみ流れ、アメリカ英語以外にも、イギリスやオーストラリアなどさまざまな英語圏の英語が流れます。

40問ある問題は、次に示す4つのパートに10問ずつ分かれています。

得点は各問1点で、最大スコアは40点。正解数によって、バンド1～バンド9まで0.5刻みのバンドスコアに換算されます。

IELTSリスニングテストの構成

IELTSのリスニングテストは、以下の4つのパートに分かれています。どれも問題数は10問です。

Part 1

話者2人の日常会話が出題されます。内容は、空港でのチェックイン時の会話や、イベントの案内、友人同士の会話など。4つのパートの中では最も難易度が低いといわれています。

Part 2

話者はひとりで、その人が説明や案内をします。内容は、スポーツ施設の案内や、観光地でのガイドの説明など。

こちらもパート1同様、日常生活に関するものなので比較的理解しやすい内容の出題が多いですが、話者がひとりのため、話すスピードが早めなので、聞き逃しに注意が必要です。

Part 3

話者は2人～4人。学術的な内容について話し合う場面が多く出題されます。内容は、課題について話し合う大学教員と生徒や、プロジェクトについての学生同士の話し合いなど。

アカデミックな内容に関するため学術用語を理解しておく必要があります。さらに複数人の話者が話すため、途中で内容がコロコロと変わるので、話の流れもしっかりと把握する必要があります。

4つのパートの中では最も難易度が高いパートといわれています。

Part 4

話者はひとりで、大学講義やアナウンスなどが出題されます。ビジネスやテクノロジーなど、やや専門性の高い内容が出題されます。

文章が長めで話が一気に進むため気を抜くことができません。一方、問題形式としては穴埋め問題が多いため、内容が理解できればそれほど難しいパートではないでしょう。

IELTSリスニングテストの問題形式

IELTSリスニングテストの問題形式には、大きく分けて次の6つのタイプがあります。

• 選択問題（複数の選択肢の中から正しい回答を選ぶ問題）
• マッチング問題（問題の短い言葉に対して、文章中の情報を結びつける問題）
• ラベリング問題（図表の一部を埋めて、図表を完成させる問題）
• 要約問題（表やチャートの空欄を埋める問題（文字数が指定あり））
• メモ完成問題（文章の空欄を埋める問題（文字数が指定あり））
• ショートアンサー問題（質問に対して答えを書き出す問題（文字数指定あり））

TOEICやTOEFLはすべて選択問題なので、文字を書くのはIELTS特有とも言えます。スペルミスにも注意が必要です。

IELTSのリスニング対策｜効果的な勉強法

IELTSのリスニング対策として効果的な勉強法は何でしょうか？

ここでは、

• 単語力の強化
• リスニング力（聞き取る力）の強化
• 問題への慣れ

の3つに絞って、勉強法をご紹介します。

大切なのは単語力｜単語力の強化

IELTSのリスニングで用いられる語彙は、8,000～10,000といわれています。英検で換算すると準1級程度。かなりの語彙力が必要です。

そのため、IELTSのスコアを上げたいのであれば、単語力を強化する必要があります。

ここでいう単語力とは、単語＝意味を理解すると同時に、スペルも正しく書けることを言います。

IELTSでは書き取り問題も出題されるため、聞き取れたのにスペルを間違えてしまうと正解にはなりません。何となく意味は知っている…だけでは不十分。しっかりとスペルまで覚えましょう。

単語力強化のためのおすすめ教材を3つご紹介します。

おすすめの書籍①｜実践IELTS英単語3500 改訂版

単語集の定番と言っても良いのがこちらの書籍。IELTSの頻出単語を効率良く学べます。

3,500語が収録されていますが、そのうち1,000語はバンドスコア5.0程度を学べる基本の英単語。残り2,500語は、バンドスコア5.5～7.5を学べる重要語。

500語ずつ5つのレベルに分類されており、目標とするバンドスコアに合わせて学習できる構成です。

音声ダウンロードが可能です。旺文社のリスニングアプリ「英語の友」で、スマホで気軽に音声を聞くことができます。スペルも発音もイギリス英語です。

おすすめの書籍②｜文脈で覚える IELTS英単語

文脈で単語を覚えたいという方にはこちらの本がおすすめです。

近年の出題傾向を分析し、頻出の単語を含む4,600語を収録しています。ストーリーを読んで、文脈から単語の意味を理解します。類義語も表示されているので、言い換え問題にも対応可能です。

文章で接した単語は記憶に残りやすいので、何度も読み返すうちに知識の定着が図れるでしょう。

英文を音読すれば、リーディング対策やスピーキング対策にもなります。音声はダウンロード可能です。

おすすめの書籍③｜IELTS必須英単語4400

IELTSで必須の英単語3,300語と、英熟語1,100語が収録されています。

単語は難易度順に分類されており、フレーズと一緒に掲載されています。基礎レベルはグループA、バンドスコア7.5以上を目指す方はグループDを見ると良いでしょう。

各単語には、同意語と、テストで注意すべきポイントが併記されています。リスニングセクションに関するコメントは「L」と記載されているので、分かりやすいでしょう。

音声もダウンロードできます。見出し語→フレーズの和訳→英語のフレーズの順に収録されているので、テキストを見なくても音声のみでの学習が可能です。

通勤通学時など、テキストを開きづらいときに便利です。

英語を英語として聞き取れない時は…｜シャドーイングとディクテーション

英語の聞き取りが苦手な方は、シャドーイングとディクテーションをしてみましょう。

シャドーイングとは、英語を聞いて、その後をシャドー（影）のように追いかけて話す練習法。ディクテーションとは、聞いたものを書き取る練習法です。

リスニングの練習をするのに、話したり（スピーキング）書いたり（ライティング）する必要があるのかと思われるかもしれませんが、口から出せない音は聞き取れないため、シャドーイングはリスニング力強化につながります。

また、ディクテーションは集中して聞く練習にもなるため、結果としてリスニング力が強化されます。

シャドーイング

シャドーイングは以下のような順番で行いましょう。

1. まずはスクリプトを見ずに、音声だけを聞く
2. スクリプトを確認しながらリスニング（英文の意味や単語の意味もチェック）
3. 一文流しては音声を止めて、都度リピート
4. スクリプトを見ながら音声を聞き、オーバーラッピングで一緒に音読
5. スクリプトを見ながら少し遅れて音読
6. スクリプトを見ずに少し遅れて発話

最初は難しいと思いますが、何度も繰り返すうちに少しずつできるようになるはずです。

まずは、比較的ゆっくりと話されている音声や、初心者向けに速度を落とした音声を教材として使ってみましょう。

ディクテーション

シャドーイングに慣れてきたら、ディクテーションにも挑戦してみましょう。1分ぐらいの音源で、一度聞いたときに7～8割理解できるものが理想的です。

ディクテーションは、次のステップで学習することがおすすめです。

1. 音声を聞いて、全体の意味を理解する
2. 一文流しては音声を止めて、聞き取れた単語やフレーズを書き取る（音声は何度繰り返してもOK）
3. スクリプトを見て確認する

ポイントは❸の確認作業。聞き取れなかった音やスペルが分からなかった単語は、印をつけるなどしてしっかりと覚えましょう。

数日後に同じ教材でもう一度ディクテーションをしてみましょう。

以前聞いた回数よりも少ない回数で書き取ることができたり、聞き取れなかった、分からなかった単語の数が少なくなったりしていればOKです。

ディクテーションも最初は難しいと思いますが、聞いているうちに、はっきりと聞けるようになるでしょう。

問題に慣れることも大切｜問題集で演習

IELTSのリスニングには、マッチング問題や書き取り問題など、特有の問題が出題されます。高スコアを取るために、できるだけ多くの問題形式に慣れておきましょう。

また、リスニング音声のアクセントはイギリス英語が中心です。アメリカ英語に慣れている日本人にとっては聞き取りにくいと感じることもあるので、イギリス英語に慣れておきましょう。

おすすめの問題集①｜実践IELTS技能別問題集リスニング

リスニングに特化したこちらの書籍は、問題形式別の演習ができます。問題形式の基礎情報に加え、解き方や対策なども記載されており、IELTS受験初心者におすすめです。

問題数も豊富。音源はダウンロードでき、スクリプトも書籍に掲載されているので、シャドーイングやディクテーションの教材としてもおすすめです。

総仕上げとして、本番形式の模試が2回分ついています。

おすすめの問題集②｜IELTS Academic Book

IELTS公式問題集がこちらの書籍。アカデミックモジュールの4回分の模擬試験を収録しています。

ダウンロードできる音源と、スピーキングテストのサンプル動画、解答の解説とライティングの解答例などが入っています。

試験当日の問題を完全に再現しているため、問題形式に慣れたり、自分の苦手分野を知ったりするために使ってみましょう。

2024年5月時点で発売されている最新刊はVer18（2023年7月27日発売）です。

おすすめ問題集③｜IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集

ブリティッシュ・カウンシル公認の問題集がこちら。4技能が対策できます。

豊富な練習問題には丁寧な解説がついています。すべての問題・解答に、スクリプトと日本語訳がついているので、シャドーイングやディクテーション教材にもおすすめ。音声は無料でダウンロードできます。

本番と同じ形式の模擬試験も1回分掲載されており、模擬試験の結果からバンドスコアを予想できる換算表もついています。本番前の腕試しにぴったりです。

IELTSのリスニング対策｜本番での解き方のコツ

いくら事前に勉強していても、本番で力が発揮できなければ高スコアには結びつきません。ここでは、本番での解き方のコツをご紹介します。

コツ①｜問題を先読みする

IELTSのリスニング試験では、問題を先読みしましょう。事前に問題を見ることで、何についての話題なのか理解しておくことができます。

キーワードとなる部分に丸をつけたり、下線を引いたりすると、音声が始まった時に分かりやすくて良いでしょう。

先読みするタイミングですが、各設問に入る前にインストラクションが流れるので、その間に先読みして質問や選択肢を理解しておきましょう。

パート1は比較的難易度が低いので、パート1のインストラクションが流れている間にパート2以降の問題を読むことがポイント。

パート1の問題が始まった瞬間に切り替えて、パート1の問題を解きましょう。

僅かな時間ですが、先読みはリスニングでは大きなメリットです。うまく取り入れましょう。

コツ②｜メモを取る

IELTSのリスニングでは、音声を聞きながらメモを取りましょう。重要だと思う単語や数字をメモします。スペルがすぐに思い出せない場合は、カタカナでメモをしましょう。

メモをしておけば、最後に答えを転記する際に再考が可能です。

メモは採点には一切関係ありません。自由に、でも後から見て分かるようにメモを取りましょう。

コツ③｜単数形か複数形かを確認

IELTSの記述式問題では、スペルがひとつでも間違っていると点がもらえません。複数形のsが抜けていても×になってしまいます。

そのため、答えに名詞が含まれるときは、必ず単数形か複数形かを確認しましょう。

しかしながら、「s」の有無はなかなか聞き取りだけでは判断しにくいもの。

単数形か複数形かは文脈から判断できることがあるので、話の流れから確認しましょう。また、穴埋め問題であれば、必要な語彙数もヒントになることがあるので、参考にすると良いでしょう。

コツ④｜スペルは必ずチェック

先ほども述べましたが、記述式問題ではリスニングとは言え、スペルミスがあると正解になりません。

全く聞き取れなかったりスペルが分からなかったりする場合は仕方ありませんが、一ヶ所のスペルミスで不正解とされるのはもったいないです。

スペルは必ず確認しましょう。

コツ⑤｜空欄NG！解答欄は必ず埋める

分からなくても解答欄は埋めましょう。選択式問題であれば、適当に埋めても正解になることがあります。

なるべく空欄がないように、解答欄はすべて埋めましょう。

きちんとした対策でIELTSリスニングテストではハイスコアを狙おう

IELTSのリスニングは、問題傾向を把握し、きちんと対策をすればハイスコアが狙える分野です。

特に、単語力、リスニング力（聞き取る力）を強化し、問題に慣れることがポイントです。

ぜひこの記事を参考に効率良く学習して、スコアアップを達成してください！