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中学生が英検の勉強をし、合格するメリットは何でしょうか?中学校に入学すると、本格的な英語学習がスタートします。特に、2021年に導入された中学校の新学習指導要領では、社会のグローバル化、情報化に対応できるよう、自分で考えて話す力が求められます。
学習する英単語も1,200語から、1,600~1,800語に増えます。さらに、3年後の高校入試も視野にいれた英語学習が必要です。
学校での勉強に英検の勉強をプラスすれば、この目標にさらに近づくことができます。この記事では、英検1級で、英検指導歴、英検二次試験対策指導歴8年の私が、英検の概要、受験のメリット、中学生としての受験目標としての級、各級の勉強法などについて、詳しく解説します。
この記事はこんな方におすすめ
- 子どもの英検受験を考えている中学生の保護者
- 英検受験を考えている中学生
- 将来にわたる子供の英語教育について考えている保護者
英検とは?
英検は、正式には実用英語技能検定といい、日本の英語の資格試験では、歴史、受験者数、実績ともに、権威ある試験です。
英検の試験日程
英検の試験は、年3回行われます。一次試験、二次試験とも、本会場(英検協会が設置する公開会場)と準会場(申込責任者が定めた申込団体単位の会場のことで、学校など団体で受験する場合)があり、詳細日程は、英検公式サイトで発表されます。
試験の学校行事や定期テストなどの日程との兼ね合いもよく考えて受験するといいでしょう。
試験日程 | 一次試験 | 二次試験 |
---|---|---|
第1回 | 5月末〜6月初旬 | 6月末〜7月初旬 |
第2回 | 10月初旬 | 11月初旬 |
第3回 | 1月中旬 | 2月下旬〜3月初旬 |
英検の受験費用
英検では、受験料のことを検定料といいます。級、個人申込or団体申込等によって、検定料は異なります。
級 | 個人受験の場合 |
---|---|
1級 | 12,600円 |
準1級 | 10,700円 |
2級 | 9,700円 |
準2級 | 9,200円 |
3級 | 7,900円 |
4級 | 4,900円 |
5級 | 4,500円 |
英検では、受験料のことを検定料といいます。級、個人申込or団体申込等によって、検定料は異なります。
上記の表の検定料(税込)は、個人が本会場で受験する場合の基本的な金額です。団体、準会場など、条件によって金額が異なりますので、ご自身の条件を考慮して、検定料をチェックしてみてください。
検定料には、二次試験受験料も含まれます。二次試験(4級、5級は一次試験のみ)は、一次試験合格者のみが受験できます。
二次試験に不合格の場合、あと3回(免除可能期間は1年間)、次回以降の申込時に、一次試験免除申請をすれば、一次試験免除で二次試験を受験できます。
自動的に、一次試験免除になるのではなく、受験申込と一次試験免除申請が必要ですので、ご注意ください。
一次試験免除で二次試験のみの受験の場合も、検定料は同額です。
各級の目安
英検では、それぞれの級に必要とされる英語力の目安が明記されていますので、学習目標と考えるといいでしょう。
級 | 推奨目安 | 必要語彙数 |
---|---|---|
5級 | 中学初級程度 | 300~600 |
4級 | 中学初級程度 | 600~1,300 |
3級 | 中学卒業程度 | 1,250~2,100 |
準2級 | 高校中級程度 | 2,600~3,600 |
2級 | 高校卒業程度 | 3,800~5,100 |
準1級 | 大学中級程度 | 7,500~9,000 |
1級 | 大学上級程度 | 10,000~15,000 |
5級と4級は、一次試験(筆記試験とリスニング試験)のみです。
3級からは、一次試験合格者のみ、二次試験を受験できます。3級からは一次試験において、ライティング(英作文)があります。
3級から準1級までの二次試験は、マンツーマンの面接です。1級は、ネイティブ1人+日本人1人との面接です。
中学生が英検を受けるメリット
中学生になると、学校の勉強や部活などずいぶん忙しくなります。学校の定期テスト対策だけでも、意識的に勉強しないと、部活などとの両立がむずかしいです。
そういう状況の中、もうひとつ、英検受験を選択するのですから、相当なモチベーションが必要です。ここでは、中学生が英検を受験するメリットをご紹介します。
英語学習の目標設定
英検の勉強と、学校の英語の勉強は、決して対立するものではありません。どちらも、しっかり勉強をすると、相乗効果が期待できます。
ただ、学校の英語の勉強だけだと、教科書の範囲からなかなか抜け出せませんが、英検は、正式名称を、「実用英語技能検定」というように、生活のあらゆるシーンを想定した英語学習になり、実生活に応用できます。
さらに、勉強を進めれば、中学生でも、何級でも受験することが可能です。
英検の級を順番に上げていくことは、英語学習の大きな目標設定になります。
英語学習の習慣化
英語学習というのは、一朝一夕に成果が出るものではありません。特に、語彙力アップは、毎日コツコツすることが大切です。英検受験を目標に、毎日少しずつでも、単語帳を開けば、確実に語彙力が身につきます。
学校の勉強とは別に、英検の試験日程に合わせて、学習計画を立てて、勉強をすすめていくことは、英語学習が習慣化できます。英語学習の習慣化は、将来、必ず役に立ちます。
高校入試などで優遇
英検は、英語の4技能が評価できる資格として、高校・大学等の入試における内申点の加点や学科試験免除を認められています。
ただ、高校入試の内申点や試験免除などの優遇を受けたいのであれば、最低でも英検3級、できれば英検準2級までは取りたいところです。
さらに、先を見通して、大学入試での優遇などもありますから、余裕があれば、中学時代に、英検の級をどんどん進んでいくといいでしょう。
外部試験に慣れる
高校入試は、自分の中学校以外で、他の中学校の生徒たちと一緒に受験します。いつもの定期テストの雰囲気とは全然違います。
外部の試験に慣れていない人は、試験の雰囲気にのまれてしまうことがあります。緊張のあまり、実力が発揮できないなんてことになりかねません。
英検で外部の試験を受ける経験を積んでおけば、自分の学校以外の場所で、多くの知らない人と受験する雰囲気に慣れます。「慣れ」はとても大切です。
中学生が目標とすべきレベル・級の目安
中学校で本格的な英語学習が始まるわけですが、今や、幼児、小学生のころから英語学習を始めている子も多くいます。中学1年生のスタート時点でも、英語力に開きがあるのが実情です。
それまでの英語学習歴に合わせよう
中学1年生と言っても、それまでの英語学習歴によって英語力に大きな差があります。幼児、小学生のころから、英語のDVDを観たり、子ども英会話教室に行ったり、いろいろです。小学生の頃に、すでに英検5級、4級などを持っている子もいます。
逆に、小学校の英語の授業だけしか英語学習歴がない場合は、文字通り、アルファベットの書き方から身につける必要があります。
その時点での英語力を知ろう
「英語力を知るために、英検を受ける」と書きながら、英検を受けるために、その時点の英語力を知ろうというのは、なんだか矛盾しているようですが、これはとても大切なことです。
というのは、外部で受ける初めての試験が英検の場合、できることなら合格させてあげたいですよね?もちろん、どれだけ準備をしても、不合格になる場合はありますが、できるだけ、はじめて受ける英検では合格して、それを自信につなげてほしいです。
そのためには、中学1年生だから英検5級、中学2年生だから英検4級と決めないで、その子の実力に合わせた級を選択しましょう。英検の公式サイトなどには、過去問が載っていますので、やらせてみてもいいですね。過去問で7割程度の正解を受験の目安に考えるといいでしょう。
中学校卒業までに英検3級は確実に取ろう
英検が、英検3級に求めているレベルは、中学校卒業程度ですから、中学校卒業までに英検3級は確実に取れるように計画を立てましょう。
英検3級に合格する実力があれば、高校入試での英語の力もついているはずです。また、中学校卒業までに、英検3級を取れているということは、中学英語の基本はきちんと習得できているということなので、高校の英語にもスムーズに進むことができるでしょう。
余裕があれば、英検準2級を目指そう
英検が、英検準2級に求めているレベルは、高校中級程度ですが、英検は、英語の勉強を階段を順番に上がっていくように進めていくので、中学生だからと言って、合格できないわけではありません。
4級、3級と級が上がってくると、子ども自身、自信もつきますし、級が上がることが楽しくなってくる子もいます。本人が望めば、受験させましょう。ただし、無理強いはNGです。
中学生の間に英検準2級を取得できれば、高校入試も、高校に入ってからの英語の授業も自信をもって望めます。
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英検の級別勉強法
英検の各級の目安に合わせて、勉強に取り組み、ぜひ、目標の級に合格しましょう。
英検5級の勉強法
英検は、5級から受けなければならないということはなくて、何級からでも受けることができます。極端な話、実力があれば、英検1級だけを受けることも可能ですが、中学生の場合、英検5級は、英検の最初に受ける級と考えましょう。
英検5級では、筆記(リーディング)25分、リスニング20分の計45分の一次試験だけです。
筆記試験の内容は、短文の語句空所補充×15問、会話文の空所補充×5問、日本文付短文の語句整序(並べ替え)×5問の合計25問となります。
いずれも4択です。
リスニングは、会話の応答文選択10問、会話の内容一致選択5問、イラストの内容一致選択10問です。放送回数は2回です。いずれも4択です。
単語は基本的な単語ばかりですから、確実に身につけましょう。英検5級では、学校の英語の教科書に出てくる単語は、必ずわかっているようにしましょう。
そして、英検の問題に慣れるため、過去問や過去問に合わせた問題集で慣れましょう。リスニングも、実際のリスニング問題を何度も聞いておきましょう。
英検4級の勉強法
英検4級のレベルは、中学中級程度で、必要語彙数は、600~1,300語です。
英検4級は、一次試験のみで、筆記(リーディング)が35分、リスニングが30分です。リスニングは、会話の応答文選択10問、会話の内容一致選択10問、文の内容一致選択10問です。放送回数は2回です。いずれも4択です。
英検5級に比べて、より実用的になり、身近なトピックが題材とされます。
中学2年生の範囲の、過去形、未来形、比較級・最上級も出題されるので、授業内容を確実に身につける必要があります。特に、英検5級、4級では、学校で学ぶ英語をおろそかにしてはいけません。
ただ、英検の問題形式には慣れておく必要があるので、英検4級用の問題集を1冊やりきるようにしましょう。
英検3級の勉強法
英検3級のレベルは、中学卒業程度で、必要語彙数は、1,250~2,100語です。内容的には、中学英語の総決算と考えましょう。中1、中2で受験する場合は、まだ習っていないところを問題集などでしっかり確認しておく必要があります。
3級では、5級、4級と大きく変わることが2つあります。ひとつは、ライティング(25~35語の英作文)です。
もう一つは、一次試験合格者が受ける二次試験です。二次試験は、面接委員とのマンツーマンの面接によるスピーキングテストです。一次試験、二次試験のいずれにも合格して、英検3級に合格ということになります。
ライティングは、英文の構成、書き方などを学んで、時間を測って書けるように練習しましょう。
英検3級のための勉強と、高校入試のための勉強は、重なる部分も多いので、高校入試の準備をすることが英検3級の勉強になりますし、逆もまた然りです。
英検準2級の勉強法
英検準2級のレベルは、高校中級程度で、必要語彙数は、2,600~3,600語です。英検準2級用の単語用参考書を準備することをおすすめします。
今までの英検3級との違いは、基礎力定着から、使える英語へ、応用、実践力が問われるようになります。文部科学省は、高校卒業段階の英語力の達成目標として、英検準2級、英検2級としています。
中学生で、英検準2級を取得することは、生易しいことではありませんが、それだけ取得できたら、大きな自信になりますし、英語力も確実に身についたと言えます。
語彙数が多くなるだけでなく、リーディング、ライティング、リスニングも求められるレベルはアップします。試験では、英検準2級から長文の語句空所補充が増え、リスニングでは、音声が一度しか流れないのが、大きな変化です。
英検準2級用の問題集を何度もやって、問題の傾向を知り、問題にも慣れましょう。
中学生の英検勉強法
中学生は、学校の勉強や定期テスト対策、部活や塾、習い事など忙しく日々を過ごしています。そこに、英検というもう一つのタスクを増やすわけですから、できるだけ効率よく勉強できるように工夫しましょう。
参考書・問題集を活用
英検5級、4級までなら、学校の勉強をしっかり自分のものにして、定期テストでも高得点を取れるようなら、特に英検に向けての参考書などは必要ないかもしれません。
ただ、英検の試験スタイルに慣れることは大切なので、過去問などをしておくといいでしょう。リスニングも、形式に慣れる必要があります。
3級、準2級については、学校の勉強の他に、英検に向けた参考書や問題集を準備しましょう。特に、「でる順パス単」「キクタン」などのボキャビル用参考書は用意した方がいいでしょう。
各級別の問題集を1冊は買って、何度も繰り返しするといいでしょう。
ラジオ講座の活用
・画像引用:NHKゴガク
NHKのラジオ講座は、とても役立ちます。月曜から金曜まで、1回15分の番組です。中学生向けには、「中学生の基礎英語レベル1」「中学生の基礎英語レベル2」「中学生の基礎英語 in English」がおすすめです。
毎日、朝と夕方に2回(同内容)放送があります。今は、リアルタイムにラジオの前に座って聞く必要がなく、スマホなどで都合のいい時間に、ストリーミングで聞くことができます。「ラジオ英会話」もリスニング力アップに役立ちます。
毎月テキストが出ています。さらに、単語を覚えるためのアプリなどとも連動すれば、効率よく学べます。
対面式の塾や英会話スクール
対面式の塾や英会話スクールなら、ご近所の教室をおすすめします。同じ学校の友達も一緒に学べると、互いに張り合いがあります。
5級・4級なら、特に英検指導をしている教室でなくてもOKです。そこで、英語の地力をつければ、合格に直結します。
ただ、3級・準2級なら、英検指導をしてくれる教室の方が、効率よく学べますが、すべての塾や英会話スクールが英検指導ができるとは限りません。
そんな場合は、教室で学びつつ、英検の準備については、参考書や問題集を活用するといいでしょう。
通信講座やオンライン講座
部活をしている中学生は、高校入試のための塾に行っている人も多く、なかなか英検のための教室の時間を確保することがむずかしいですが、通信講座やオンライン講座なら、自分の都合のいい時間に受講できます。
特に、「英検対策も受講可能」と銘打っている講座なら、英検指導のノウハウも実績もあるので、任せて安心です。
学研のオンライン英会話kiminiの英検対策コースでは、人気教材「英検をひとつひとつわかりやすく。」を使って、合格に必要な内容を講師の下で効率的に身につけていきます。
ひとりでは難しい二次試験対策ができるのも、kiminiオンライン英会話ならではのメリットです。
学校の勉強・定期テスト対策との両立
中学生にとって、英検の勉強をすることはとても大切ですが、一義的な目標やゴールは、学校の勉強です。英検の勉強をすることによって、学校の勉強がおろそかになっては、元も子もありません。
もちろん、英検の勉強と学校の勉強は対立するものではないので、英検の勉強をすれば、学校の英語の勉強にもいい影響が出ます。
定期テスト2週間前あたりからは、学校の勉強最優先で頑張りましょう。英検の勉強は、テスト直前期間は避けて、毎日少しずつするようにしましょう。夏休みなどの長期休暇もまとめて頑張るといいでしょう。
クラブ活動との両立
熱心に部活をしている中学生は、放課後はもちろん、土・日曜日も練習や試合に出かけます。さらに、学校から帰ると、疲れてしまって、勉強に集中できないこともあります。
部活をしている中学生は、学校の勉強との両立にも苦労しています。そこに英検の勉強も加わるわけですから、とても大変です。大変なことがわかりながら、チャレンジする姿勢は素晴らしいものです。
部活と学校の勉強、英検の勉強の両立のためには、効率よく勉強することがキーポイントです。学校の勉強は、授業で完璧マスターするぐらいの気持ちで集中しましょう。
英検の勉強は、短期集中、登校前の15分を英検の勉強に充てるなどの工夫が効果的です。
中学生こそ英検に挑戦しよう
「中学生にこそ、英検を取得してほしい!」と、中学生に英検指導をしてきた筆者は強くそう思います。
学校の勉強や部活で大変でも、あえて英検にチャレンジして、合格を勝ち取っていく、その姿勢は、絶対裏切りません。必ず、あなたの力になるとお約束します。